晦庵 河道屋

日本橋三越で開催されている「京名物 洛趣展」といういわゆる京都物産展に行き、イートインコーナーで晦庵 河道屋のにしんそばを食べる。いづうの鯖寿司とか、鍵善のくずきりも食べたかったけど、なんか温かいものをお腹に入れたかったので、おそばで。おそばは色々あって、鴨なんばかしっぽくかこれで散々悩んだけど、なんとなく京都っぽいものってことで、にしんが勝ったという感じ。

ぱっと見、駅そばみたいな麺でちょっと不安な気持ちになったのだけど、食べるとなんともいえずおいしい。何よりおいしいのは、つゆ。危なく全汁するところだった。にしんもおいしかった。甘くて脂っ気がないんだけど、噛み締めるとなんともいえずおいしいんだよねーというのが、身欠きにしんのいいところで、しみじみ堪能した。器もあほみたいに大きかったり重かったりしなくて、ぱっと見小ぶりなのがすごくいい。私もこれくらいの丼を探しているのだけど、なかなかないんだよね。

しかし、大満足の反面、選択肢にあんかけうどんがなかったのが、ちょっと寂しかった。そういえば、京都展って色んなところでしょっちゅうやっているけど、あんかけうどんを持ってきてくれた例は見たことがない。あんなにおいしいのに…。

京名物 洛趣展」 の最大の目的は、いづ萬のかまぼこ。たまたま今年の春の京王の京都展で買って食べてものすごくおいしかったのでずっと探していたのだ。

高島屋の味百選にないかなぁと期待したんだけどなくて(ネットショップにはあるんだけど、量がごついセットでしか売っていない)、色んな百貨店の京都展をチェックしていたのだけど、ようやく見つけた次第。というか、いづ萬は洛趣展には毎年出店しているようなんですが、私は基本、日本橋は行動範囲外なので知らなかった…。あと、事後に気づいた上に未確認情報なんだけど、池袋の西武と東武の京都物産展にも、出ているときがあるらしい。来年はもう少し注意深くチェックしていきたい。

京王の京都展では揚げかまぼこしかなかったが、ここは冷蔵品も多数あって内心大騒ぎだったのだけど、ここの練り物は、一般的な練り物よりも賞味期限が短いので、泣く泣く東山魚餅だけ購入。ああ、かまぼこもあんぺいもチーズ松風も買いたかった…。来年は冷蔵庫の整理を付けてきっと…。

揚げかまぼこもいろいろあった。どれもおいしいので、全部買いたかったが、これも泣く泣く4個に絞る(賞味期限が当日中なので)。うう…、もっと頻繁に東京に来て欲しい。手渡された揚げかまぼこはほんのり温かかった。来年は買ってすぐに屋上かどこかでかぶりつきたい。次回はそういう心づもりで挑みたい。

通販のご案内の入ったパンフレットを貰ったので、帰宅してしみじみ眺めてみたが、夏限定のはもそうめんも通販できるらしい。なんだか夏が楽しみになってきた。

日本橋から半蔵門に移動して、国立劇場で11月歌舞伎公演「一谷嫩軍記」を見る。 「一谷嫩軍記」 といえば、イコール「熊谷陣屋」とうくらいそこしか上演されないし、それしか観たことないんですが、今回は序幕に「御影浜浜辺の場」がかかったレアバージョンでした。しかも、「熊谷陣屋」は、八代目芝翫襲名(2016年)以来の芝翫型での上演で、ダブルでレア。

結論から言うと、ものすごく面白かった。襲名の時の熊谷はほとんど印象に残らなかったが、今回はすさまじい熱演で、相模(熊谷の妻)を演じた孝太郎さんとの相性もいい感じ。私の左右に座っていたお客さん(いずれも初老男性)はふたりとも中盤以降号泣しており、私までうっかりもらい泣きしそうでした。ぼんやりな私でも團十郎型との違いは色々気づいたが、全体的に生っぽい印象で、個人的には子供を失った悲しみを相模と抱き合って共有する形になっていたのが強く印象に残った。いつもの熊谷だと、相模のことほったらかしだなあと、思うこともあったので。

今回の熊谷とても面白かったのだけど、その反面、ここからいつもの熊谷に演出を変更した九代目團十郎は、なんというか、やっぱり圧倒的にすごいんだなぁとつくづく思ったのでした。

金曜日の夜の回だけは、上演15分前に、橋之助による演目解説があったのですが、そばを食べていたら間に合わず、最後のくろごちゃん写真撮影タイムだけ滑り込みで間に合ったので、数枚撮ってきました。お客の入りが寂しそうに見えますが、この後もう少し入ったので、最終的にはもうちょっといましたよ。

国立劇場の建て替え計画も本格化しつつあるようで、具体的な報道も出始めましたが、どの価格の席に座っても舞台を隅々まで観られる客席設計なのと、広々としていてベンチの多いロビーが気に入っているので、この2つは維持して欲しいなと願っています。あと、お花のシャンデリア、かわいくて好きなので、新しい劇場でも使って欲しいと思っています。

帰宅して、 洛趣展で買ってきた塩芳軒の聚楽と、鍵善の菊寿糖で一息入れる。今日はなんか、濃厚な1日だった。

中華街散策

今日は十五夜なので、白玉粉もあるしお団子でも作ろうかなと思っていたのだけど、夫が急に「ローズホテルの素泊まりが安いから泊まりに行かない? 月餅買えるよ」というので、その提案に乗ってみる。みなとみらい線の山下公園口を出て、中華街東門をくぐってすぐのY字路を右に行くと、なんかちょっとゴツゴツ感が80年代風というか、都内では見ないデコラティブな大きい建物があって、1階に重慶飯店が入っている大きな建物。それがローズホテル

ぱっと見異様な雰囲気だし、通りすがりに覗くロビーは薄暗い(ように見える)ので、ちょっと敬遠していたんですが、実際に入ってみると、ごく普通のシティホテルでした。1つ勘違いしていたのは、長らく1階に重慶飯店が入っているホテルだと思っていたんだけど、ちょっと違って、重慶飯店が経営しているホテルなんだそうです。今回は素泊まりだし、結局ホテルでは何も食べなかったんですが。

今日は十五夜なんですけど、中華圏の人にとっては中秋節であって、ロビーには巨大な月餅が、お獅子と一緒に飾られていました。説明書きには1994年から毎年作っていて、直径1m、黒あん42㎏、皮の生地10㎏、アヒルの塩卵8㎏(700個)だそうです。なんか大きすぎて、最初食べ物に見えなかったけど、これ、やっぱり、最後はみんなで食べるんですよね、きっと。

チェックインしてから、中華街をぶらぶらしつつ、お目当ての月餅を買い歩く。中秋節当日で、もう夕方なので、定番の品は売り切れていたり、品薄だったりも結構多かった。水曜日なので、定休日のお店もちらほらあったし。

今回買ったのは、こんなの。こんなに食べられるのかな…と自分でも思いながら6個、全部で1キロはありそうな重量でした。

  • 華正樓の仲秋伍仁月餅
  • 翠香園の金銀肉月(五目木の実+金華ハム)、伍仁鹹肉(五目木の実+ひと塩)、伍仁甜月(五目木の実)、旦黄蓮蓉(はすの実あん+塩卵1個)
  • 紅棉の双黄蓮蓉月餅(塩卵2個入り蓮餡の大月餅)

月餅を買った後は、関帝廟でお参りしたり(参拝は有料なのは知ってたけど、どのくらいお金を払えばいいのかが、いつも外から眺めるだけだった。結論から言うと、線香代1人500円で、ここが最低ラインと言うことが分かったので良かったです。今度は金紙も買って、もっと徳を積もうと思いました)、

明日の朝食用のパンを買いに元町まで出たりして(結局、めぼしいパンは見つからず。この辺は水曜日が定休日のお店が多いんですね)、ぶらぶら。

帰りに媽祖廟の前を通ったら、何か神事のようなことをしていました(中秋節のお祀りだったそうです)。

晩ご飯は、やっぱり南粤美食に行きたいな…と思ったら、残念なことに今日はディナーなし。だったら私は翠香園とか、菜香新館とか、きれいめのお店でゆっくり食べたいな…と思ったんですが、それを夫に言うのは、なんか説明しにくくて(というか、ここ数年で、あの店のアレを食べるぞ! みたいな欲望が結構薄くなっていて、今自分が何を食べたいのかを明確に言語化するのが、年々難しくなってきている)、とりあえず行ってみたいお店リストに入れておいた鳳林に行く。

ランチで行くイメージがあったので、夜だとどう食べようかな…と悩んで、結局目に付いた、ワタリガニのドウチ炒め、酢豚、餃子を注文。最近は量を食べられないので、どう頼むかは結構神経を使う。注文する際、ワタリガニは殻付きだけどいいか? と聞かれたので、問題ないよと言ったけど、実際、がっつり食べにくく、私は何の問題もないんだけど、夫には悪いことをしたなと少し思った。

カニフォークを添えてくれたけど、私は使わなかった。ガブっとかじって、しゃぶって、おしまい。その後で出してくれたハサミがびっくりするぐらい切れ味が良くて、どこのメーカーのか、写真を撮ってくれた良かったなぁと少し後悔してる。

このドウチソースがおいしかったので、今度は、違う素材のドウチソース煮を食べてみたいな…と思った。

酢豚は、べったり甘酸っぱい、もうなんていうか、酢豚! って感じの酢豚だったんですが、妙においしかったです。お肉の衣が、ドーナツみたいな感じで(夫はアメリカンドッグと言っていたが、さもありなん)、分厚くて、サクサクで、食べ応えがあるのに軽い。なんか好きな味でした。

餃子もね、おいしかったんですが、写真撮り忘れた。しっかり味付けされたお肉がむっちり入った焼き餃子で、そのままでも、ご飯と食べてもおいしいだろうなーという感じ。また食べたい。

食後は満腹だったんですが、外食にありがちな苦しさは全然なくて、2時間ほど経ったらむしろスッキリしていました。今度は、テレビでよく紹介されているという、フカヒレチャーハンとかいっちゃうか。

食後に山下公園まで行って、お月見。同じことを考えている人が多いのか、たまたまそういう時間帯だっただけなのか分からないけど、ベンチは空を見るカップルがずらりと座り、そぞろ歩きする人も多かった。21時を過ぎたら急に人気がなくなったので、天気のいい日は毎日こんな感じなのかも。

雲がかかっていて今日は月見は無理かなと思っていたけど、時々雲間から覗かせていて、真ん丸のいい姿を拝めました。

空を見ながらつらつら喋っている中で、夫が、今Twitterで話題の「お腹に入れば皆同じ」と言い切るサイコパスな奥さんの話をしてきたので、私はそのネタ(マンガ)をよく知らんのだけど、そういうことを言わない奥さんで良かったね…と言ったら、そうだね、いつもおいしいものばっかり食べてるよ、この前の萩の月も最高だった、と返答してきたので、なんだかみょーに腹が立った。この文脈で、私が今まで作ってきたものではなくて、買ってきたものがおいしいと言う神経ってどうなのかと。私は本気で腹を立てたのだけど、夫は私の怒りは全く理解できていないようで、なんかそれって、マンガの話と似てるんじゃないか? 読んでないから知らんけど。そのマンガ、奥さんのサイコパスっぷりが話題みたいだけど、話の本質は、案外あるある話でもあるのかも…などと思ったのでした。

マンガの話はさておき、「お腹に入れば皆同じ」というのは、好き嫌いの多い家族を抱えている主婦ならば、皆思うことだろうと思う。家族が満足し、かつ自分もそれなりに満足し、きちんと経済的に成り立つ献立を考えることがどれだけ大変か。これだけのことを考えて実行し継続する能力体力を、他のことに振り分けられたならどんなに良かったかと思う気持ちに応えることは、食べるだけの人間の責務だと思う。問題は、食べるだけの人間にはこの大変さが1ミリも理解できないということで、分からない人間に分からせることは無理な話なので、最適解は大変なことはやらないと言うことになる。こういう骨格の話は、案外どこにでも転がっている話なんだけど、意外と普遍化しにくい。難しいなぁと思う。

みなとみらい方面に目を向けると、エレクトリカルパレード状態で、こういう景色が見られるのも、横浜のいいところだよなーと思ったり。で、横浜に来る度に賃貸情報を検索するんですが、この辺は賃貸だと1Kばっかりなのね。なので、この辺に住みたければ買うしかないけど、どうなのよ。…という、脳内やりとりを毎度行っていて、今回も「無理」という結論に達して終わった。

ホテルに戻って、買ってきた月餅を少し食べる。翠香園の金銀肉月と、紅棉の双黄蓮蓉月餅。

金銀肉月はテスト代わりに別の記事で書いたから改めて感想は書かないけど、一口食べた瞬間に、「あー、これ好きだな」と思ったので、来年も買いたい。 紅棉 で買ったときに、「お月見だから、今日食べてね」と言われたので、ちゃんと食べます。良いことがあるといいな。